光造形3Dプリンターで使用されるレジンは、紫外線に反応して硬化する液体状の素材です。微細な形状や滑らかな質感を再現できるため、FDM方式のフィラメント造形よりも精密な仕上がりが得られます。
表面の美しさやディテールの再現性が求められるフィギュアや試作モデル、工業用の高精度パーツといった用途で選ばれることが多く、視覚的な品質を重視する分野で重宝されています。
ただし、硬化前のレジンは皮膚や呼吸器への刺激があるため、安全に取り扱うためには洗浄やUVによる二次硬化といった後処理が不可欠です。仕上がりの品質や作業者の安全性にも関わる重要な工程となります。
この記事ではレジンの基礎から、失敗しにくい選び方、代表的なレジンの種類、事前に揃えるべき道具、保管と廃棄の注意点まで要点を整理して徹底解説します。
3Dプリンター(光造形方式)の「レジン」とは?

3Dプリンターにおけるレジンとは、光造形方式で使用される液体状の樹脂材料のことを指します。
紫外線などの光を照射することで硬化し、データに沿って層を重ねながら造形します。フィラメントを溶かして積み上げる方式と比べ、表面が滑らかで細部まで再現しやすい点が特徴です。
光造形方式では、レジンを一層ずつ硬化させるため、積層痕が目立ちにくく、高精細なモデルを出力できます。そのため、フィギュアや精密部品、試作品の制作など、見た目や精度が求められる用途で多く利用されています。
レジンには用途別にさまざまな種類があり、一般的な標準レジンのほか、強度を高めたタイプや柔軟性を持たせたタイプも存在します。目的に合ったレジンを選ぶことで、仕上がりや耐久性を向上させることが可能です。
一方で、レジンは液体状態では刺激性があるため、造形や後処理の際には適切な取り扱いが必要です。洗浄や二次硬化を正しく行うことで、造形物の品質と安全性を確保できます。
レジン選びのポイント2選
光造形方式の3Dプリンターで高精度かつ美しい造形を実施するためには、使用するレジンの選定が非常に重要です。
現在は多くのメーカーからさまざまな特性を持つレジンが販売されていますが、すべて同じ品質や用途というわけではありません。
ポイント①メーカー純正のレジンを使用する
ポイント②低アレルゲンで水洗い可能なレジンを選ぶ
目的に合わないレジンを選ぶと、造形品質の低下やトラブルにつながる可能性があります。ここでは、レジン選びで特に押さえておきたい3つのポイントを解説します。
ポイント①メーカー純正のレジンを使用する
光造形方式用のレジンは、多くのメーカーから販売されており、低アレルゲンタイプや水洗いタイプ、IPA洗浄が前提のものなど種類も多岐にわたります。
その中で重要となるのが、プリンター本体と同じメーカーが製造している純正レジンを選ぶことです。
たとえばFLASHFORGE製のFoto 8.9sを使用する場合は、同社が提供している対応レジンを選ぶことで、露光条件や硬化特性の相性が取りやすくなります。純正レジンはプリンターの仕様に合わせて調整されていることが多く、造形不良や機器トラブルのリスクを抑えやすくなります。
また、レジンとプリンターの相性は仕上がり後の品質にも直結します。細部の再現性や表面の滑らかさを重視する場合でも、メーカー純正品を使用することで安定した結果が得られるようになります。
ポイント②低アレルゲンで水洗い可能なレジンを選ぶ
レジン素材は、体質によっては皮膚に触れることでアレルギー反応を引き起こす場合があります。いわゆるレジンアレルギーや樹脂アレルギーと呼ばれるもので、長時間の接触や繰り返しの使用によって症状が出るケースも報告されています。
光造形方式の3Dプリンターでは液体レジンを直接扱う工程が多く、作業中にレジンへ触れる機会が増えます。そのため、安全面を考慮し、低アレルゲン設計のレジンを選ぶことが重要です。
また、水洗いに対応したレジンは、IPA(イソプロピルアルコール)などの有機溶剤を使用せずに洗浄できる点が特長です。後処理が簡単になるだけでなく、洗浄時の負担が軽減され、反りや歪みの発生を抑えやすくなります。
造形物の安定性や再現性を高めたい場合にも、水洗いレジンは有効な選択肢となるので覚えておきましょう。
光造形3Dプリンター用レジンの主な種類と特徴
光造形用レジンは、代表的なものとして以下の種類に分類されます。
スタンダードレジン
水洗いレジン
キャストレジン
エキスパートマテリアルレジン(エキマテ)
それではここから、それぞれの特徴について順に解説します。
ABSライクレジン
ABSライクレジンとは、ABS樹脂に近い性質を持たせた光造形用レジンのことです。
ABS樹脂は、強度と粘り、耐衝撃性のバランスに優れたプラスチック素材で、家電製品や電子機器の筐体、プラモデルなど幅広い分野で使用されています。加工のしやすさや塗装との相性も良いため、組み立て部品やフィギュア制作にも適した素材として知られています。
ABSライクレジンは、こうしたABS樹脂の特徴を再現しており、一般的なスタンダードレジンと比べて割れにくく、粘りのある仕上がりが期待できます。そのため、耐久性が求められる試作品や実用性を重視した造形物に向いています。
また、光造形方式ならではの滑らかな表面と高い造形精度を活かせる点も、大きな特長です。
スタンダードレジン
スタンダードレジンは、もっとも汎用性が高く、初めて光造形を行う方にも扱いやすい基本的なレジンです。特殊な性能を求めない一般的な造形に適しており、安定した出力と高い寸法精度が得られます。
光造形方式ならではのシャープなディテール表現が可能で、クセが少ない点も魅力です。カラーはグレーが定番ですが、メーカーによっては透明や白など複数の色が用意されています。
水洗いレジン

通常のレジンでは、造形後にIPAなどのアルコールで洗浄する必要がありますが、水洗いレジンではその工程を省ける特徴があります。
未硬化レジンが残ったまま触れると、肌荒れやレジンアレルギーの原因になるほか、造形物の劣化を招く恐れがあります。そのため洗浄工程は重要ですが、水洗いレジンを使用することで、薬品の取り扱いリスクを抑えられます。
家庭環境でも扱いやすく、アルコール廃液を産業廃棄物として処理する必要がない点もメリットです。
キャストレジン
キャストレジンは、ロストワックス鋳造に使用できる専用レジンです。
ロストワックス鋳造とは、ロウで作った原型を鋳型に置き、ロウを溶かした空間に溶融金属を流し込むことで金属製品を成形する製法です。
キャストレジンは、このロウ型の代替として使用でき、焼成時にきれいに燃え尽きる性質を持っています。ジュエリーや精密部品など、小型で高精度が求められる金属製品の製造に多く用いられています。
光造形3Dプリンターを使えば、微細なディテールを再現した原型を直接造形できるため、試作から製品化までのリードタイム短縮にもつながります。
エキスパートマテリアルレジン(エキマテ)

エキスパートマテリアルレジンは、安全性と扱いやすさを重視した光造形用レジンです。エキスパートマテリアルレジン(エキマテ)の特徴として、以下が挙げられます。
特徴
・発がん性物質やアンチモンなどの有害物質を含まない
・ベタつきが少なく、手洗いで除去可能
・水と台所用洗剤で洗浄できる
・洗浄廃液を下水に流せる地域が多い
・刺激臭がほとんどない
・低温環境でも安定して造形できる
医療用途やスポーツ用マウスピースに使われる材料をベースに開発されており、毒性は食塩と同程度とされています。そのため、従来のレジンに不安を感じていた方にも適しています。
水溶性で扱いやすく、万が一こぼしても簡単に拭き取れる点もメリットです。冬場でも造形が安定しやすく、環境条件に左右されにくい点も評価されています。
一方で、表面硬度は高いものの、しなりに弱いため、細くて強い負荷がかかる形状には不向きです。
レジン造形時に事前に揃えておきたい道具一覧
UV硬化性レジンを使用する光造形方式3Dプリンターでは、出力後の後処理が完成度に直結します。造形物の洗浄やサポート除去を適切に行うためには、あらかじめ必要な道具を準備しておくことが重要です。
有機溶剤用防毒マスク
安全メガネ
アルコール系洗浄液(レジン洗浄剤)
タッパー(洗浄用容器)
スクレーパー
ニッパー
超音波洗浄機(任意)
二次硬化用ライト(ネイル用UVライトで代用可)
ストレーナー(こし器)
漏斗
ブラシ
ここでは、レジン造形を安全かつ効率的に進めるために用意しておきたい道具と、その用途を解説します。
ゴム手袋(粉なしタイプ推奨)
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レジンには皮膚刺激やアレルギーの原因となる成分が含まれています。また、洗浄に使用するアルコール系洗浄液も素手で触れるべきではありません。
作業時は必ずゴム手袋を着用し、仕上がりへの影響を避けるため粉なしタイプを選ぶのがおすすめです。
有機溶剤用防毒マスク

IPAやエタノールなどの有機溶剤は揮発性が高く、吸入による健康リスクがあります。
安全に作業するため、有機溶剤対応の防毒マスクを着用し、換気環境にも配慮しましょう。
安全メガネ
液体レジンやアルコール系洗浄液が目に入ると、強い刺激や角膜への影響が生じる可能性があります。
洗浄やサポート除去作業の際は、安全メガネを必ず装着してください。万が一目に入った場合は、15分以上流水で洗浄し、速やかに眼科を受診する必要があります。
アルコール系洗浄液(レジン洗浄剤)

光造形方式では、出力後に未硬化レジンを洗い落とす工程が不可欠です。IPA含有量が高い洗浄液は毒性が強いため、エタノール主体でIPA含有量の低いレジン専用洗浄剤が適しています。
無水エタノールは揮発性が高く、造形物の白化を招く恐れがあるため使用は控えましょう。
タッパー(洗浄用容器)
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タッパーは造形物の洗浄だけでなく、ビルドプレートやレジンタンクの清掃にも使用します。
消耗品として割り切り、100円ショップなどで複数用意しておくと作業効率が向上します。
スクレーパー

スクレーパーは、造形物をビルドプレートから取り外す際に使用します。
多くの3Dプリンターには付属していますが、プレートへの傷を防ぎたい場合は樹脂製スクレーパーがおすすめです。
ニッパー

ニッパーは、サポート材を切り離す際に使用します。
高価な工具は不要ですが、切れ味が悪いと造形物を破損する原因になるため、500〜1,000円程度の扱いやすいものを選びましょう。
超音波洗浄機(任意)

超音波洗浄機は、細かなサポート跡や凹部に残ったレジンを効率的に除去できます。
必須ではありませんが、仕上がり品質を重視する場合は導入する価値があります。小型モデルであれば数千円程度で入手可能です。
二次硬化用ライト(ネイル用UVライトで代用可)

出力直後の造形物は完全硬化していない状態のため、二次硬化を実施することで強度と耐久性が向上します。
専用機がなくても、ネイル用UVライトで代用可能です。
ストレーナー(こし器)

ストレーナー(こし器)は、使用後のレジンをボトルに戻す際、ゴミや硬化片を取り除くために使用します。
目が細かすぎると顔料まで除去してしまうため、適度な粗さのものを選びましょう。
漏斗
漏斗は、レジンや洗浄液を別容器に移す際に使用します。
漏斗とは液体や粉末を別の容器へ移し替える際に使用する道具です。上部が広く下部が細い形状をしており、こぼれやすい材料を安定して注ぐ目的で使われます。
洗浄液はストレーナーで沈殿物を除去すれば、2〜3回程度再利用が可能です。
ブラシ

ブラシは造形物表面の汚れ除去や、レジンタンク底部に沈殿した顔料の攪拌(かくはん)に使用します。
用途ごとにブラシを分け、消耗を前提に安価なものを用意すると管理が楽になりおすすめです。
3Dプリント(造形依頼)なら業界最速クラスの3Dプリントサービス『3Dayプリンター』にお任せ

3Dayプリンターは、東京都墨田区両国に3Dプリント工場を構える株式会社メルタが提供する3Dプリントの受託サービスです。「3Dが、3日で目の前に!」をキャッチフレーズに、スピーディーな対応と高い技術力を兼ね備えています。
3Dデータの設計からプリント、塗装や研磨といった後工程、さらには小ロットの試作まで、すべてワンストップで対応できます。
| 対応内容 | 3Dデータ→3Dプリント→塗装(後処理)など全てを提案できる幅広さ |
|---|---|
| 3Dデータ制作 | 対応可能 |
| 価格帯 | 低価格 |
| 納期傾向 | 短納期 |
| 向いている人 | ・3Dデータをすでに持っている人 ・3Dデータを持っていない人 ・ものづくりに詳しくない方 |
| 注意点 | データ品質が完成度に直結 |
対応素材はABS樹脂や金属、シリコンなど18種類以上に及び、試作品から実用品まで幅広いニーズに応じた高精度な出力が可能です。
これまでにソニー、NTT西日本、早稲田大学など多数の企業や教育機関への納品実績があり、法人・研究機関から個人のクリエイターまで幅広いユーザーに利用されています。
課題や目的に合わせた導入支援や最適な活用方法のご提案も行っておりますので、3Dプリントをご検討の際はぜひお気軽にお問い合わせください。

さらに、3Dayプリンターを運営する株式会社メルタでは、試作から量産まで一気通貫で支援が可能です。
こちらのサイトより、価格・納期の目安から製作の流れなど詳細が確認できますので、量産が初めての方でも安心してお任せいただけます。
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光造形3Dプリンター用レジンでよくある質問
ここでは、光造形方式の3Dプリンターで使用するレジンについて、よくある質問とその回答を紹介します。
レジン使用時の注意点はありますか?
必ず換気を行い素手で触れないようにしてください。未硬化レジンは揮発性があり吸い込むとアレルギーや肌トラブルの原因になる可能性があります。作業時はゴム手袋の着用が推奨されます。
レジンボトルの正しい保管方法は?
10〜30℃の範囲で直射日光を避けた暗所に保管してください。また成分分離を防ぐため定期的にボトルを振ることが大切です。
レジンボトルや余ったレジンの廃棄方法
中身がないことを確認した上で少量のアルコールで洗浄し、ボトル素材に応じて自治体の分別ルールに従って廃棄してください。
また余ったレジンは、不要な容器に移して太陽光やUV光で完全に硬化させてから廃棄してください。
硬化後はプラスチックごみとして扱われます。
まとめ
3Dプリンターレジンは光造形で用いる液体樹脂で、積層痕が目立ちにくく高精細に仕上げやすい一方、取り扱いと後処理が品質と安全の両面で重要です。
レジン選びはまずプリンターとの相性を優先し、基本はメーカー純正品を軸にすると露光条件が合わせやすく造形不良やトラブルを減らせます。次に作業環境と体質リスクを考慮し、低アレルゲン設計や水洗い対応など扱いやすいタイプを選ぶと、洗浄負担や溶剤リスクを抑えやすくなります。
用途別には強度重視のABSライク、汎用のスタンダード、後処理が簡単な水洗い、鋳造向けのキャスト、安全性と扱いやすさを重視したエキマテなどがあり、目的に応じて使い分けることが完成度に直結します。
運用面では手袋や防毒マスク、安全メガネ、洗浄容器、スクレーパー、ニッパー、二次硬化ライトなどの準備が欠かせず、換気と保護具の徹底が基本です。
保管は直射日光を避けた暗所で適温を守り、廃棄は未硬化のまま捨てず必ず硬化させた上で自治体ルールに従うことが重要です。
最後に、レジン選定や設定が難しい方、後処理まで含めて品質を安定させたい方、3Dプリントによる造形や量産を検討している方は『3Dayプリンター』にご相談ください。
データ準備から出力、研磨や塗装などの後加工、小ロット試作までを一括で対応できるため、社内で設備や運用を抱えなくて良いのでスピードと再現性を両立できます。仕様や用途を伺った上で適切な方式と材料を提案できるため、試作の手戻りや量産立ち上げの不確実性を減らしたい場合にも有効です。



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