AR三兄弟 『箱男 -AR BOX MAN-』フィギュア造形

AR三兄弟様

参考画像

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 シュールレアリズム作家・安部公房は文学によってVRを実装した。それをコードによって再実装したのがAR三兄弟であり、その作品、『箱男 -AR BOX MAN-』である。

 縦横1メートル四方、高さ1.3メートルの段ボール箱を頭からすっぽりとかぶったまま浮浪生活を送る男が安部公房の小説『箱男』の主人公だ。小説の中での箱男は日本中に存在しているにもかかわらず、人々の意識にその姿が印象づけられることはなく、従って認識できないものとして扱われている。これは奇しくも、大小のスクリーンをのぞき込むことで誰にも見られることなく匿名で世界を見ることのできるメディアと、我々との関係を示唆しているようにも読み取れる。冷蔵庫ほどの大きさの段ボール箱を頭からかぶって覗き窓から世界を覗く箱男は、段ボール製のVRデバイスを装着した人と同じように、匿名化された一つの視点として宙に浮かんで存在することができる。

 小説『箱男』の大半の部分は、箱男である主人公が箱の中でノートに書き付けた手記という形式で書き進められる。手記の中ではカメラマンであった彼が箱男として暮らすようになる成り行きや箱を売ってくれと頼まれる顛末、これからどうしようかなどという思いを巡らせる想像が展開されるのだが、次第に読者の認識はぐらついていく。この箱男が書いている手記が現実に起こったことを記録しているのか、箱男の妄想を書き取っているものなのか、それとも、これこそが今起こっている現実なのかの区別が次第につかなくなってくるのだ。小説世界の中で確固たる前提とされていた構造が少しずつ異様な形態に組み替えられる。見るものが見られるものになり、書かれる自分が書く自分に異議を申し立て、書きとられた過去は現在に干渉する。書くものと書かれるもの、見るものと見られるものの関係が裏返り、箱男は箱の中へと迷い込んでいく。

 この『箱男』にVRメディアの預言書としての面を見出し、原作と同じダンボール箱を用いて現代のAR装置として再実装しようとする者がいるとすれば、それは彼ら、AR三兄弟以外に考えられないだろう。彼らの作品『箱男 -AR BOX MAN-』では、段ボールを頭からかぶり、中に仕掛けられた液晶の覗き窓から小さなフィギュアをのぞき込んだ途端、リアルの外部世界はヴァーチャルの映像世界へと緩やかにクロスフェードしていく。
 小説の『箱男』と、このAR版箱男の大きな違いを一つ挙げるとすれば、「箱をかぶっている様子が周囲から大変よく目立つ」ということだろう。

“見ることには愛があるが、見られることには憎悪がある。見られる傷みに耐えようとして、人は歯をむくのだ。しかし誰もが見るだけの人間になるわけにはいかない。見られた者が見返せば、今度は見ていた者が、見られる側にまわってしまうのだ。”

3Dayプリンターでは、表参道スパイラルガーデンにて行われた展示『SENSE OF MOTION』に出展された、AR三兄弟の作品『箱男 -AR BOX MAN-』でのトリガーとして使われるフィギュアの3Dプリントを行いました。会期の直前というタイトなスケジュールを考慮して、まず小さなフルカラー樹脂フィギュアを造形し、その後会期中に認識率を上げるため大きなフィギュアを造形して差し替える対応を行いました。

素材フルカラー樹脂・ナイロン樹脂 + 黒色塗装
サービス内容3Dデータから3Dプリント・塗装
サイズ観覧車:X:45 × Y:45 × Z53 (mm)            船:X:45 × Y:93 × Z39 (mm)              人工衛星:X:45 × Y:54 × Z40 (mm)
個数3個 x 4セット
納期3日

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